
夜に生理が始まったとき、「これって1日目?それとも翌日が1日目?」と迷ったことはありませんか?婦人科の診察現場でも、よくいただくご質問のひとつです。
本記事では、産婦人科専門医の視点から、夜に生理が始まった場合の「生理1日目」の数え方をわかりやすく解説します。あわせて、生理周期を把握することの意義や、日数カウントに迷ったときのヒントについてもお伝えしていきます。

生理が夜に始まったら「1日目」はいつ?
結論からお伝えすると、生理の「1日目」とは、ナプキンが必要になる程度の出血が始まった日を指します。
ここでいう「生理らしい出血」とは、おりものに少し血が混じる程度のごく少量の出血ではなく、ナプキンをつけて過ごす必要があるような、明らかな出血のことです。
出血に気づいたのが夜遅く、たとえ日付が変わる直前だったとしても、その日が生理の1日目とカウントされます。
このような数え方は、生理周期を把握するうえで最も一般的な方法であり、婦人科など医療機関でも、この基準に基づいて確認されることがほとんどです。
なぜ「生理何日目」が大切なの?
生理が始まった日を正しく把握することは、健康管理やライフプランを考えるうえで非常に重要です。
とくに以下の4つの理由から、「生理何日目か」を意識して記録しておくことが勧められます。
排卵日の予測
生理周期の長さは、排卵日を予測するための大切な手がかりです。
一般的に排卵は、生理開始日から約14日後に起こることが多いため(※生理周期が28日の場合)、生理1日目を正確に把握することで、排卵日のおおよその目安を立てることができます。
妊娠のしやすさ(タイミング法)
妊娠を希望する場合、「排卵日前後の数日間」が最も妊娠しやすいとされています。
正確に妊娠しやすい時期を把握するためには、生理1日目からのカウントがとても重要です。生理周期が比較的安定している場合、たとえば28日周期の方であれば、生理1日目から数えて14日目頃が排卵日と推定されます。
生理1日目からの正確な日数カウントが、タイミングを計る上で役立ちます。
身体の不調の記録
PMS(月経前症候群)、生理痛、頭痛、気分の落ち込みなど、生理周期に連動する不調は人によってさまざまです。
婦人科受診時の情報
婦人科を受診した際には、多くの場合、医師から
「最後の生理はいつ始まりましたか?」
「ふだんの生理周期はどのくらいですか?」といった質問があります。
これらの情報は、診察や検査の方針を決めるうえで非常に重要な手がかりとなるため、ご自身の生理日数を把握しておくことが大切です。
このように、「生理何日目か」を知ることは、ただの記録にとどまりません。
ご自身の身体と向き合い、健康を保つための大切な情報源になるのです。
生理記録のつけ方
生理の開始日を正確に記録することは、ご自身の体調や周期を把握するうえでとても大切です。
ここでは、日々の記録に役立つ2つの方法をご紹介します。
生理日予測・管理アプリの活用
スマートフォンのアプリには、生理日を入力するだけで、次の生理予定日や排卵日を自動で予測してくれる便利なものがたくさんあります。
出血量や体調、気分の変化なども一緒に記録できるタイプを選ぶと、身体のリズムや不調のパターンをより細かく把握することができます。
日々の記録を習慣にすることで、自然と自分の身体への理解が深まっていきます。
基礎体温との併用
基礎体温を毎日測定し、グラフにして記録することで、生理周期の中での体温の変化(低温期と高温期)を把握することができます。
この体温のリズムから、排卵の有無や周期の乱れに気づきやすくなるため、生理日数の記録とあわせて行うことで、より正確にご自身の身体の状態を知ることができます。
記録を続けることで、ご自身の平均的な生理周期や、いつ頃からPMSの症状が出やすいかなどが明確になり、体調管理に役立てることができます。
生理以外の出血との違いに注意
生理が始まったと思っていた出血が、実は生理ではなく「不正出血」や「着床出血」だったということもあります。生理とそれ以外の出血を見分けることは、ご自身の身体の状態を正しく理解するうえで非常に重要です。
「生理」とは
生理(月経)とは、妊娠が成立しなかった場合に、子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに体外へ排出される自然な身体の働きです。
妊娠に備えて毎月厚くなる子宮内膜は、妊娠が起こらなければ不要となり、出血として排出されることで生理が始まります。
生理周期は通常25〜38日の間で個人差があり、出血の期間は3〜7日程度が一般的とされています。
出血の量にもばらつきがありますが、ナプキンやタンポンが必要になる程度の、ある程度まとまった出血が続くことが、生理の大きな特徴です。
また、生理の開始から終了にかけて、出血の色や粘度が変化することもよくあります。
「不正出血」とは
「不正出血」とは、生理の時期ではないのに性器から出血が見られる状態を指します。
出血の原因はさまざまで、次のような要因が考えられます。
・ホルモンバランスの乱れ
・強いストレスや生活習慣の変化
・排卵期に起こる中間期出血
・子宮頸管ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜症などの疾患
・子宮や卵巣の感染症、悪性腫瘍 など
不正出血の量や期間にも個人差があり、おりものに血が混じる程度の少量のものから、生理のようにまとまった出血が数日続く場合まで、さまざまです。
色もピンク色や茶色、鮮血など幅があり、普段の生理とは異なる出血の性状に気づくことが、不調のサインに早く気づく手がかりにもなります。
「着床出血」とは
生理とよく似ていて、混同されやすい出血として、妊娠超初期に起こる「着床出血」もあります。
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床する際に、子宮内膜の一部が傷つき、少量の出血が起こることを指します。
生理予定日と近いタイミングで起こることが多いため、「予定より早く生理が来たのかな?」と感じるケースもあります。
出血の特徴としては以下のような傾向があります。
期間:数時間 ~ 2~3日程度
量 :ごく少量(ナプキンがいらない程度のことも)
色 :薄いピンク色や茶色っぽい色
形状:粘度が少なく、水っぽいこともある
このように、鮮やかな赤色で量が多い通常の生理とは異なる点が多くあります。
また、着床出血はすべての妊娠で起こるわけではなく、経験しない方も多くいらっしゃいます。
見分けがつかないときには?
生理と見分けがつきにくい出血があった場合には、ご自身の生理周期や出血の量・色・タイミングなどを冷静に観察することが大切です。
また、不正出血が続く、量が多い、いつもと様子が違うといった場合は、自己判断せず、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
まとめ
生理が夜に始まった場合でも、「ナプキンが必要な程度の出血が始まった日」を生理1日目としてカウントするのが一般的です。
この数え方は、婦人科の診察でも基準として用いられています。
また、生理日数を正確に記録することは、以下のようなさまざまな場面で役立ちます。
・排卵日や妊娠しやすい時期の予測
・PMSや体調の変化のパターンの把握
・婦人科受診時のスムーズな情報共有
・健康管理や妊活、ライフプランの参考に
生理日予測アプリや基礎体温の記録も上手に活用しながら、ご自身の身体のリズムと丁寧に向き合っていきましょう。
なお、出血の量や期間がいつもと違う、不正出血かもしれない、といった不安がある場合は、迷わず婦人科にご相談いただくことが安心につながります。


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